「体重増加」が症状として現れる病気がある
病気による二次性肥満に注意
あまり知られていませんが、何らかの病気が原因で体重増加(肥満)が起こることもあります。
病気の影響で起こる肥満は「二次性肥満」といい、体重増加の原因となっている病気の治療が必要となる場合があります。
食事の量をセーブしたり運動をしているのに体重増加がみられたり、短期間に急激に体重が増加したり、あるいは体重増加に伴ってほかの症状も出現しているなどの場合には、一度医療機関を受診してみることをお勧めします。
体重増加の症状が現れる病気(例)
疑われる病気 | 病気の説明 | 主な症状 |
---|---|---|
甲状腺機能低下症 | 女性に多い。甲状腺ホルモンの作用不足によって全身の代謝が低下し、むくみを伴って体重が増加する。 | ・食欲不振 ・便秘 ・疲れやすい ・寒がり ・皮膚の乾燥 ・徐脈 ・むくみ ・甲状腺の腫れ |
クッシング病 下垂体腺腫 | 副腎皮質ホルモンの過剰分泌の影響で顔が丸くなったり、手足は細いのに腹部を中心に丸く太って体重が増加する。 | ・顔が丸くなる ・にきび ・皮下出血 ・高血圧 ・高血糖 ・精神症状(抑うつ) |
心不全 | 心機能の低下に伴う体循環のうっ滞により、四肢末梢を中心にむくみ、体重が増加する | ・息切れ ・頻脈 ・血圧低下 ・血圧上昇 ・むくみ |
腎不全 | 腎機能の低下に伴う体液過剰により、全身性のむくみが現れ、体重が増加する | ・貧血 ・高血圧 ・尿量の変化 ・むくみ ・息切れ |
肝硬変 | 肝臓の機能低下により、血中のアルブミンが低下する。腹水により腹部膨満となることもある | ・黄疸 ・腹部膨満 ・むくみ ・低アルブミン血症 |
ネフローゼ症候群 | 尿中にアルブミンを含むタンパクが失われることにより、むくみが強くなる状態 | ・タンパク尿 ・むくみ ・高コレステロール血症 ・低アルブミン血症 |
病気を疑って医療機関を受診すべき人
- 短期間に急激に体重が増加した人
- 体重増加以外に気になる症状がある人
まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。かかりつけ医がない方は最寄りの病院へ。
原因が分からなかったら紹介状を書いてもらって大学病院など大きな病院を受診されることをオススメします。
医療機関にかかる前にチェックすること
- 太るような食事に心当たりはないか?
- 過度なストレスに心当たりはないか?
- 睡眠不足など不規則な生活などが続いていないか?
太るような食事に心当たりはないか
一度の食事の量が増えたり、間食や外食の機会は増えていないでしょうか?また、3食バランスよく食べているでしょうか?食生活の乱れが気になる方は、主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を心がけると良いでしょう。
過度なストレスに心当たりはないか
ストレスが強ければ強いほど、抗ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が増えます。コルチゾールが過剰に分泌されると「食欲抑制ホルモンの分泌量が減って食べる量が増える」「血糖値を上昇させ脂肪を蓄えやすくなる」などの理由から、中性脂肪の増加を招くリスクとなります。ストレスなどで過食気味になっていないか振り返ってみましょう。
睡眠不足など不規則な生活などが続いていないか
慢性的な寝不足は将来の肥満のリスクとなります。寝つきを良くし熟眠を誘うメラトニン、疲労回復を助ける成長ホルモン、目覚めを良くするコルチゾール…これら3つのバランスが悪くなると、入眠に時間が掛かったり、沢山寝ても疲れが取れにくくなったり、朝気持ちよく起きられなくなったりしてしまいます。
また、休日の寝だめもダイエットや健康の観点からは良くありません。「明日は休みだから」という理由で夜更かしをし、さらに朝寝坊する(つまり睡眠時間が後方にずれる)という休日の睡眠習慣はソーシャル・ジェットラグの原因となります。