慢性的な睡眠不足は将来の肥満の危険因子になる
睡眠不足は、食欲増進による食事摂取量の増加を招き、肥満の原因になると考えられています。
身体が、長くなった活動時間に必要なエネルギーを確保しようとするためです。
また、起きている時間が長くなると、ついつい食事の回数(おやつや夜食など)が増えてしまいがちです。
さらに、昼間に眠気がおこり日中の活動意欲が低下することにより、運動不足となりがちで、これも肥満が助長される要因につながります。
慢性的な睡眠不足は日中の眠気や意欲低下・記憶力減退など精神機能の低下を引き起こすだけではなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼすことが知られています。一例を挙げれば、健康な人でも一日10時間たっぷりと眠った日に比較して、寝不足(4時間睡眠)をたった二日間続けただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチン分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。ごくわずかの寝不足によって私たちの食行動までも影響を受けるのです。
引用元:厚生労働省e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」(三島和夫氏)
睡眠障害が生活習慣病の罹患リスクを高め症状を悪化させるとも言われています。是非とも改善したいものです。
良質な睡眠をとるためにやっていること
就寝時に身体をリラックスモードにすることがポイントです。
人は、日中活動モードに、夜はリラックスモードに切り替えることで健康的な体を維持することができます。
良い睡眠の3つのポイント
- 寝つきがよい
- ぐっすり眠れる(熟睡)
- 寝起きがすっきりしている
睡眠の質を向上させればさせるほど、心身を回復させる効果があります。
食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌も盛んになります。
良い睡眠のために取り組んでいること
- 食事は就寝の3時間前までに済ます
- 入浴はぬるめのお湯に浸かる
- 温かい飲み物で眠気を促す
- ヒーリングミュージックを聴く
- トリプトファンを摂取する(サプリメント可)
- 夜22時に寝る
- 朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる(日光浴)
- 就寝前のスマートフォン/パソコンの使用を避ける
- 夕方に適度な運動をする
- 自分に合った寝具選びをする(枕・布団/マットレス)
良質な睡眠のために、食事は就寝の3時間前までに済ます
就寝時には消化活動が終わっていることが理想的です。
食事後すぐに寝てしまうと、体が消化活動を優先してしまうため、内臓が休息する時間が短くなったり、眠りが浅くなりがちで疲れが抜けにくくなったりします。
帰宅から就寝までの時間がどうしても短くなるときは、寝る前の食事は消化の良いメニューにしておきましょう。
質の良い睡眠のために、お風呂はぬるめ
ぬるめのお風呂への入浴は、体温調節もスムーズに行われ、交感神経から副交感神経優位へ切り替えるときにとても効果的とされています。
入眠時間が短くなる効果も期待できます。
ラベンダーなどの、快眠に効果のあるとされている香りの入浴剤を使うのも良いでしょう。
38℃ほどのぬるいお湯に10分以上、ゆっくり入ると、副交感神経が刺激されて精神の緊張がほぐれ、筋肉もゆるみます。
尚、熱めのお湯に長く入ることは、交感神経を刺激して心拍数が増え、血圧が上昇するなど、体の覚醒を誘ってしまうため、就寝に必要な体温変化を得にくくなります。体への負担も大きいですので避けましょう。
良質な睡眠のために、温かい飲み物を飲む
温かい飲み物は、体温上昇を促します。
また、湯気は鼻づまりの改善をもたらし、睡眠時に口呼吸になってしまうのを防ぎます。
体温が下がり始めるときに自然な眠気がおきるそうなので、就寝前に温かい飲み物を飲むことは大変オススメです。
安眠効果を高めるためにノンカフェインのものを選びましょう。
【白湯(さゆ)】
白湯とは、お水を沸かしたお湯を冷ました飲み物のことです。
水よりも人の体温に近いので、胃腸に負担をかけずに体を温めることができます。
水はノンカロリーなので、接種カロリーを気にしなくて良い点もメリットです。
【カモミールティー】
カモミールティーは、古くからヨーロッパで不眠対策に使われていたとされています。
心身をリラックスしてくれる香りが特徴です。
アルコールやカフェイン含有飲料はNG。
寝酒として飲む方もいらっしゃるアルコールですが、実際には睡眠が浅くなるといわれているのでオススメできません。
また、コーヒーや紅茶、緑茶、栄養ドリンクなど、覚醒作用を持つカフェインを含む飲食物は、入眠や深い睡眠の妨げとなります。
カフェインの利尿作用によってトイレに行く回数が増えるため、ぐっすりと眠る妨げになる場合もあります。
睡眠用BGMとしてヒーリングミュージックを聴く
- 川のせせらぎ、鳥のさえずりや波の音などの自然界の音
- オルゴールの音
- クラシック音楽
- 歌詞が入っていないインストルメンタルの曲
など、気に入ったものを見つけてみましょう。
脳内にα波を発生させやすい曲を選ぶことがポイントです。
(※逆に脳を活性化させる音楽を選曲すると、寝つきの悪さや眠りの浅さなどの睡眠障害につながるので、歌詞のある曲や激しい曲は睡眠時のBGMとしては控えましょう)
良質な睡眠のためにトリプトファンを摂取する(サプリ可)
トリプトファンは、日中は脳内でセロトニンに変化し、夜になると睡眠を促すメラトニンに変化します。
トリプトファンは「必須アミノ酸」と言われるアミノ酸のうちの一種ですが、体内で生成できない為、食事やサプリメントから摂らなければなりません。
睡眠の質を向上させるサプリメント
トリプトファンを多く含む食品
トリプトファンは、タンパク質を多く含む食べ物に含まれています。
基本的には食品中のタンパク質が多いほど多く含まれる。
引用元:wikipedia「トリプトファン#食品中の量」
したがって、肉、魚、豆、種子、ナッツ、豆乳や乳製品などに豊富に含まれる。
熟睡のために、夜22時に寝る
前述の通り、トリプトファンは、日中は脳内でセロトニンに変化し、夜になると睡眠を促すメラトニンに変化します。
メラトニンの分泌量が多くなるとされる深夜に深い眠りに入っている状態をつくると効果的です。
熟睡のために、朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる(日光浴)
睡眠ホルモンの「メラトニン」は、朝起きて光が目に入ってから14〜16時間後に分泌され、心身をリラックスモードにすることで、自然な眠りを促す働きをしています。
「朝の光を浴びるといい」といわれるのは、朝の太陽光にブルーライトが多く含まれているからです。ブルーライトを浴びることによって交感神経が活発になり心身が覚醒します。
太陽の光朝起きたらカーテンをしっかり開けて朝日を浴びましょう。
良質な睡眠のために、就寝前はスマホ/パソコンの使用を避ける
ブルーライトを浴びることによって交感神経が活発になり心身が覚醒します。このブルーライトを含む明るい光を夜に浴びると、体が昼と勘違いし、体内時計に作用して睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制されて眠気が弱まってしまい、寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりして眠れなくなると考えられています。
眠る30分前にはパソコンやスマートフォンなどの使用を使いましょう。
どうしてもこれらの機器を使いたければ、
- ブルーライトカットメガネをかける
- スマートフォンやパソコンをブルーライトカットモードにする
などの対策から始めてみましょう。
夜間睡眠を改善するために夕方に適度な運動をする
適度な運動は熟睡を誘います。
適度な疲労があると、自然な眠気から睡眠につながります。中途覚醒が少なくなり、熟睡が期待出来るでしょう。
私は夕食前にウォーキングやジョギングに取り組んでいます。
(※尚、寝る前の運動はオススメできません。なぜなら、人間は日中に交感神経を働かせて活発に動き、夜になると副交感神経が働いてリラックスモードに入るのが自然ですが、夜に運動をしてしまうと交感神経が優位になって体が興奮状態で睡眠を迎える事になってしまうからです。睡眠の質が落ちると筋肉の回復が遅れたり、生活のリズムが崩れがちになるリスクもあります)
関連記事:「正しい歩き方でウォーキングをする」
良質な睡眠のために、自分に合った寝具選びをする
就寝中はコップ一杯分の汗をかくと言われています。就寝中の発汗や温度変化に対応できるよう吸湿性・放湿性の良い寝具を選びましょう。
体型に合ったものを選びましょう。背骨のS字カーブがバランスよく支えられるものが快眠につながります。体重が分散されて寝心地がよく、身体の特定箇所に負担がかかりにくい寝具を選びましょう。
また、柔らかすぎると腰痛の原因になり、硬すぎると骨が当あたって痛く感じたり、血流が悪くなってかえって寝つきが悪くなったりする原因になります。寝具選びは大切です。