カルシウムとは
カルシウムは、原子番号20番の元素です。(元素記号はCa)
カルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルです。(カルシウムは体重の1~2%の重さで体内に存在します。体重50㎏の成人の場合およそ1㎏のカルシウムが体内に存在しています)
カルシウムは、99%は骨や歯に、残りの1%は血液や筋肉にカルシウムイオンとして存在しています。血液中のカルシウムイオンの濃度は一定に保たれており、不足した場合は骨から血液中にカルシウムを流入させています。
よく知られているカルシウムの主な働きは次のとおりです。
- 骨や歯を形成する
- 脳や神経の働きを助ける
- イライラ感を鎮める
- 血液の凝固を促して出血を止める
- 筋肉の働きをなめらかにする
なお、カルシウムは、体内で作ることができず、外から摂っても吸収されにくいので、不足しやすい栄養素です。
カルシウムの意外な効果「ダイエット効果」
カルシウムが脂肪の分解を促進
体内に十分なカルシウムがあると、脂肪の合成が抑えられ、分解が促進されると考えられています。
逆に、カルシウムが不足すると脂肪が蓄積されやすくなり、痩せにくくなってしまいます。カルシウムが不足していると、カルシウムを調整するホルモンの働きによって、カルシウムイオンが脂肪細胞内に流入するからです。情報伝達物質としての役割を持っているカルシウムイオンが脂肪細胞に流入すると、「脂肪の合成を促進しなさい」「脂肪の分解を抑制しなさい」という命令を伝達してしまうのです。
ウェイトコントロールをしている人でも、牛乳・乳製品のカロリーを気にしなくてもよい情報があります。
実は最近の研究で、「カルシウム」などの乳製品中の成分には、体重を調節する働きがあるかもしれない、という報告が出されるようになってきました。
他にも、カルシウムの摂取量が不足している人は、カルシウム調節ホルモンのはたらきにより、脂肪細胞へのカルシウムイオンの流入を促します。
カルシウムイオンは情報を伝達する役割をしていますが、脂肪合成を促進し、脂肪分解を抑制する情報を伝達することがわかってきました。つまり、カルシウム不足が体脂肪を増加させる可能性があるのです。
引用元:森永製菓 かんたん!わかる!プロテインの教科書「業界注目!カルシウムが体重増加を抑える働きがある!?」
ダイエットを効率よく行うためには、カルシウムが不足しないようにしっかり摂ることが大切です。
カルシウムの必要摂取量
カルシウムの必要量は年齢や性別によって異なります。
下図は、日本人の食事摂取基準(2020 年版)内の「要因加算法によって求めたカルシウムの推定平均必要量と推奨量」を参考にしました。
年齢(歳) | 男性のカルシウム推奨量(mg/日) | 女性のカルシウム推奨量(mg/日) |
---|---|---|
1 ~ 2 | 428 | 415 |
3 ~ 5 | 587 | 532 |
6 ~ 7 | 585 | 538 |
8 ~ 9 | 645 | 750 |
10~11 | 708 | 732 |
12~14 | 991 | 812 |
15~17 | 804 | 673 |
18~29 | 789 | 661 |
30~49 | 738 | 660 |
50~64 | 737 | 667 |
65~74 | 769 | 652 |
75 以上 | 720 | 620 |
カルシウムは摂り続けないと不足する
カルシウムは一度にたくさん摂っても体に貯蔵しておくことが出来ません(必要のない分は排泄されてしまいます)。
そのため、供給し続けないと不足状態となります。不足すると血中濃度を保つために骨からカルシウムが溶け出してしまいます。
カルシウムはダイエット中に不足しやすい栄養素
前述の通り、カルシウムは体内で作ることができず、外から摂っても吸収されにくいので、不足しやすい栄養素です。
特にダイエット中は、食事を減らしがちでカルシウムの摂取量がさらに減りやすく、その上、ダイエットのために運動すると汗と一緒に排出されてしまうので、カルシウムはダイエット中に不足しやすいと言えます。
カルシウムが不足すると脂肪が蓄積されやすくなり、痩せにくくなってしまうので、ダイエット中こそ積極的にカルシウムを摂取したいものです。
カルシウムが不足するとどうなるか?
骨の健康障害(骨粗鬆症や骨折)
カルシウムは、不足すると血中濃度を保つために骨からカルシウムが溶け出すメカニズムになっているため、骨がもろくなってしまいます。骨がもろくなると骨粗鬆症や骨折の原因となりえます。
血管系疾患(高血圧や動脈硬化)
カルシウム不足が慢性的に続くと、骨からの補給量がどんどん増加し、血中のカルシウム濃度が高くなってしまいます。そうなると、カルシウムは血管壁に取り込まれ、血管壁を収縮させます。血管壁の収縮により血液の流れが悪くなるので、心臓はより強い力で血液を送り出そうとし、結果として血圧が上昇して、高血圧や血管の老化を招きやすくなります。
肥満
前述の通り、カルシウムが不足すると脂肪が蓄積されやすくなり、痩せにくくなってしまいます。骨から溶かし出されたカルシウムのせいで血中のカルシウム濃度が高くなると、脂肪細胞で脂肪酸合成酵素が多く作られるようになり、中性脂肪が増加してしまうのです。
カルシウムは丈夫な骨や筋肉を保つうえで欠かせないものなので、太らないためはもちろん、健康の維持のためにも不足しないようにしましょう。
カルシウムを効率よく摂取する方法
カルシウムは体内での吸収率がよくないといわれ、最も吸収がよい牛乳でさえ50%程度だと考えられています。
しかも、カルシウムは一度にたくさん摂っても体に貯蔵しておくことが出来ません。さらにカルシウムは加齢とともに吸収率が悪くなるため、カルシウムを含む食品を日頃からコツコツ摂取することが大切です。
- カルシウムが多く含まれる食品を積極的に摂取する
- マグネシウムと一緒に摂る
- ビタミンDと一緒に摂る
- ビタミンKと一緒に摂る
- リンの摂り過ぎに気をつける
カルシウムが多く含まれる食品を積極的に摂取する
牛乳は、コップ1杯(200ml)に約220mgのカルシウムが含まれており、効率よくカルシウムが摂れる優秀食材です。また、牛乳はカルシウムとリン(※骨へのカルシウムの沈着を助ける役割を持つ)の比率が1:1でバランスがよい食品です。飲み物としても、料理に活用するのにも利用しやすい食品です。
牛乳や乳製品の他には、骨ごと食べられる小魚や豆製品などを積極的に摂ることをオススメします。
マグネシウムと一緒に摂る
カルシウムは体内でマグネシウムと密接に関わりながら働くため、バランスを考えて一緒に摂ることがポイントです。マグネシウムは緑黄色野菜や豆類、海藻類、ナッツなどに多く含有されています。
ビタミンDと一緒に摂る
カルシウムの摂取量が十分であったとしても、ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が悪くなります。カルシウムの吸収を高めるには、ビタミンDのが必要なので、青魚類やきのこ類などビタミンDを多く含む食品を摂ると良いでしょう、また、ビタミンDは日光を浴びることによって体内でも生成されるため、屋外で活動することも大切です。
ビタミンKと一緒に摂る
ビタミンKは、カルシウムが骨に取り込まれるのを促したり、カルシウムが尿中に排泄されるのを抑えてくれます。ビタミンKは、藻類、野菜類、豆類、肉類、乳類、卵類、油脂類に多く含まれています。
リンの摂り過ぎに気をつける
リンは骨へのカルシウムの沈着を助ける大切な役割を担う一方、過剰に摂取するとカルシウムの吸収が阻害されます(体内に入ったカルシウムを排泄してしまいます)。リンはインスタント食品や加工食品、スナック菓子などに多く含まれます。自炊の食生活を送ることをおすすめします。
参考コンテンツ
- 一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所「栄養素の説明 – ミネラル【カルシウム】」
- 日本人の食事摂取基準(2020 年版)
- カルシウムイオン.com「メタボ予防にカルシウムを!」
- 森永製菓 かんたん!わかる!プロテインの教科書「業界注目!カルシウムが体重増加を抑える働きがある!?」
- UHA味覚糖の「読ん」で「ケア」するメディアreadcare「カルシウムのダイエットへの2つの働き&摂り方解説!脂肪分解や代謝アップ」